着物豆知識集

玉川屋 トークショー「織りもの」のお話 2

私なりの「お召し」の定義を考えてみると
「生糸を使って、先染めして、緯糸にお召し緯(強撚糸のよこ糸)を使ってシボを作った織物」と言ったことになります。
繭からまっすぐ取った生糸を使って、織る前に糸を染めて
強撚糸(・・強くよりをかけた糸)を緯(よこ)糸に使い、シボ(・・生地のでこぼこ)の有る地風を作った織物、
をお召しと呼んでいます。

私なりに、というのは長い流れのある着物の世界では
先染めの着物のことを全部お召しと呼ぶ方も有れば、
強い撚りをかけてシボを作った織物のことをお召しと呼ぶ方もありますし、
一概に、どれが正解でどれが間違いと言ったことも言えないのですが、
糸の作り方の方法から始まって、今お話ししたようなお品を「お召し」と考えて頂くのが
一番オーソドックスではないかと思います。

次には、この生地の凸凹の地風・・シボの作り方をお話しします。
シボを説明するには、塩沢紬を例にとってお話ししてゆきますが、
糸というのは撚りをかけてゆくと縮んでコブが出来ようとします。

昔やりませんでしたか、ゴム動力のプロペラ飛行機。
プロペラをどんどん回して、ゴムをねじってゆくと、コブが出来てゴムが縮まろうとしますよね。
シボを出すときの強撚糸というのは、最初に糸にたっぷり糊を付けてそれをギューッと撚るんです。
1メートル間に2000回転くらいも撚るんです。

糸に撚りをかけると縮んでコブになろうとします。

そうすると当然コブが出来て縮まろうとするのですが、それを真っ直ぐなまま乾燥して巻き取ってゆきます。
このときに、右撚りの強撚糸、左よりの強撚糸、2種類の糸を作っておきます。
織るときには、緯糸(よこいと)として
右撚りの強撚糸を通してトントンとおさで織り込みます
次に左よりの強撚糸を織って、そしてあまり撚りのかかっていない糸を一本織って、
もう一度、あまり撚りのかかっていない糸を織り込みます。
「右撚り、左撚り、撚っていない、撚っていない・・」4本組で続けて織ってゆきます。

塩沢紬は織り上がりのままだとこういう地風です。
手に取ってみていただくと、大島紬のようにツルッとしていますよね。
最初に有る程度生地の巾を広めに織っておいてから、お湯の中に入れて揉んで糊を落としてあげるんです。
そうすると、縮みたいのに糊で固めて引っ張られていた糸が戻るんです。

このときに、組み合わせて織っていた右撚りの糸と左撚りの糸がバランスよくうねってくれて
凸凹のシボがきれいに出来るんです。
さらに、撚りのかかった糸につられて、あいだに有る撚っていない糸も自然とうねってきます。
織り上がりのお品をよく見ると、よこに強く線のようにピンと張って見えるのが強撚糸の糸2本で、
撚られていない糸2本は少し光沢があって、つられてうねっているのが分かるかと思います。

塩沢紬です。
撚りのかかった糸が
横段風に織り上がっているのが
お分かりになりますでしょうか。

これが塩沢紬をはじめシボのでき方です。
このシボがあることで生地に弾力が出て、お召しになったときに体にうまくフィットしてくるんです。
突っ張らずに、体になじんで着られるという着心地ができてきます。

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