着物豆知識集

玉川屋 トークショー「織りもの」のお話 4

同じシボのある生地として「お召し」や「縮緬」がありますが
共通点とすると、生糸を使っていて、強撚糸の緯糸を使ってシボを作って織った生地となります。

違いは、「精錬(せいれん)」、
蚕が繭を作るときに、糸を固めるためにセリシンという膠(にかわ)質の唾液を糸と共にはくんです。
このまま生地にすると、このセリシンが生地の黄変(変色)の原因となったり
時間が経つと固まって、生地が硬くなって裂けたりするんです。
そこで、糸を熱したアルカリ性の石鹸液の中で煮てやるとセリシンがとれて綺麗になります。
これを「精錬(せいれん)」と言います。

お召しの場合は、生糸を「糸練り(いとねり)」、
糸の段階で精錬して綺麗な糸を作る、 それから染めて、撚って、織るんです。

それに対し縮緬は、後から色や柄を染めるために白生地を織りたいんです。
いざ柄を染めるまでの工程の中で生地が汚れるときもありますので
セリシンのついたまま撚って、織って白生地にしてから精錬をします。
すると途中でついた汚れもセリシンと一緒に落ちて、綺麗な白生地となります。

縮緬の場合は、どんなにきちんと織っていても精錬すると糸が少しやせて透き間が空きます。
お召しの方は、糸の段階で精錬していますので透き間が空きません。
これによって、柔らかくしとっとする縮緬の地風と
弾力が有りながら適度に張りのあるお召しの地風の、それぞれの地風の元になります。

どちらが良いというのではなく、
シャキッとしたお召しの着物姿と、柔らかく優しい雰囲気の縮緬の着物姿、
生地の特徴をちょっと知っておくだけで
着物姿がより雰囲気のあるものになるのではないかと思います。
シャリッとしたお召しの地風が、これからの単衣の時期には特に着やすいというのも
そういったことです。

織物は、こうして撚りをかけた糸を使うことでバリエーションが広がります。
同じ塩沢紬でも、十数軒の機屋さんでも少しずつその地風が違います。
造り酒屋さんの、一軒一軒のお酒の味が少しずつ違うのと同じ様なことでしょうか、
基本の作り方は一緒でも、
それぞれの家の独自の微妙な違いが織り上がりに出てきますから面白いものです。。

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